スラヴ・ディフェンス

スラヴ・ディフェンス(またはスラブディフェンス)は1.d4 d5 2.c4 c6から始まる定跡であり、クイーンズ・ギャンビットからの派生の中でも重要な変化の一つです。スラヴ・ディフェンス自体は1590年頃にはすでに研究されていたようですが、1920年頃までは特に流行ることもなく目立った定跡ではありませんでした。

しかしその後アラピンやアレヒンと言った多くのスラブ人(ロシアや旧ソビエト諸国、東欧あたりの白人)のチェスマスター達により研究・発展させられ、さらにそれに影響された多くスラブ人マスターたちが取り入れたことによりこの名前が付けられたといいます。

ちなみにこのスラヴ・ディフェンス、チェスでも相当な強さを誇る将棋棋士の羽生善治氏が得意な戦形としても有名です。羽生さんが後手番の棋譜では、相手が初手d4の場合はほぼスラヴ・ディフェンスとなっています。また羽生さんがチェスで定跡を書き換えたと言われている有名な棋譜も後手番スラヴ・ディフェンス(詳しく言えばセミ・スラヴ)です。

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基本形まで

スラヴ・ディフェンスの基本形までを見ていきます。

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1.d4 d5 2.c4 c6

 


1.白 d4
クイーン側から攻める準備をします。e4を突く場合と違いこのポーンはクイーンで守られているため強固であり中央にいることで非常に強力な駒と化します。

1.黒 d5
中央にポーンを並べられるのとd4ポーンのこれ以上の進出を防いだ手です。これによりオープニングの選択はまず大カテゴリーではクローズドゲームとなりました。

2.白 c4
黒のd5のポーンは白のd4のポーンと同じ理由で非常に強力な駒です。ですのでポーンを捨ててでも位置をずらしに行きます。もし黒がc4のポーンを取ればe4へポーンを突きビショップでc4のポーンを狙いつつ中央にポーンを並べることができます。駒損になっても非常に好形を作れれば良しという手です。ここまでの形をクイーンズ・ギャンビットと言います。

2.黒 c6
白の狙い通りにさせまいとc6とポーンを突くことでd5を守ります。もし守らなければ白から cxd5 と d5 のポーンを取られた時に Qxd5 とクイーンで取ることになりますが Nc3 とナイトを出された手がクイーンに当たっておりクイーンを逃がさなければなりません。オープニングの段階で同じ駒を何度も動かすのは手損となるためやってはならないことに一つです。

ここからの変化はいくつか考えられますが、このページではそのうちの一つを紹介いたします。最も有力な変化のセミ・スラヴは該当ページで。

変化の一例

スラヴ・ディフェンスの白の3手目として最も多いのは右のナイトをf3に出す手です。その他にもポーンをe3に突く手やc4のポーンでd5ポーンを取る手、左のナイトをc3に出す手も考えられます。
ここでは変化の本筋であるナイトf3からの変化を見てみましょう。

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基本形から3 Nf3 Nf6 4 Nc3 dxc4 5 a4 Bf5 6 e3 e6 7 Bxc4 Bb4 8 O-O O-O

 


3.Nf3 Nf6
白のNf3に対し黒はNf6かe6とするのが普通です。ここではNf6を見ていきます。e6からの変化はセミ・スラヴのページで。

4.Nc3 dxc4
黒の3手目Nf6に対し白の4手目はNc3がメインの変化となります。他にもQc2やQb3、e3も考えられます。
これに対し黒はe6としてセミ・スラヴに合流するかdxc4とする変化が一般的です。Bf5は次に白にQb3とされると駒損が確定するため指してはならない手です。

5.a4 Bf5
白の5手目はa4がメインの変化となります。次にe2のポーンをどかしてc4のポーンを取るのが狙いですが、黒がb5へポーンを突いて守りに来るのが見えます。ですのでそれを防ぐ手です。
対して黒のBf5でアラピン・バリエーションと呼ばれる変化になります。他にもBg4とするシュタイナー・バリエーションやNa6とするスミスロフ・バリエーションなど様々な変化があります。ここではアラピン・バリエーションを選択します。

6.e3 e6 7.Bxc4 Bb4 8.O-O O-O
白の6手目はe3、Ne6、Nh4などが考えられます。ここではe3を選択しましたが、このe3はダッチ・バリエーションと呼ばれる形であまり激しくない変化となります。