チェスプレイヤーとしての羽生善治

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ランキングとレーティング

チェスについてランキングやレーティングという話をする場合、通常それらはFIDEという組織が発表しているチェスプレイヤーランキングおよびレーティングを指します。
FIDEは、将棋の日本将棋連盟のチェスバージョン(世界版)みたいな感じです。

レーティングというのはその人のチェスの強さを数値で表したもので、ドラゴンボールの戦闘力のようなものだと思えば分かりやすいでしょうか。
数値が大きくなるほど強く、日本最強クラスで2400前後、世界チャンピオンクラスだと2800~2850程度です。

そしてこのレーティング順にプレイヤーを並べたのがランキングです。

それでは羽生氏のランキングやレーティングを見てみましょう。
以下の図が2016年3月時点での日本国内のランキングとレーティングです。

20160308001

羽生氏は2399ポイントで国内第2位です。とはいえ1位の小島氏とは1ポイントと僅差ですので羽生氏が誰かに1勝、もしくは小島氏が1敗するだけで順位が入れ替わります。
また第5位には同じくプロの将棋棋士の青嶋未来四段の名前もあります。
ちなみに羽生氏は2015年1月時点では国内ランク1位のレーティングを保持していました。
以下の図は2015年1月の国内ランキングとレーティングです。

20150114001

この図の中で1位の羽生氏の他にもプロの将棋棋士で永世名人資格保持者の森内俊之氏が国内ランク5位にいます。2016年のランキングに名前が無いということは試合などに長らく出ていないため現在活動していないプレイヤーであるとFIDEから認定されたためでしょう。

またランク7位にワタナベアキラさんという方がいらっしゃいますが、プロ将棋棋士で永世竜王資格保持者の渡辺明氏とは別人です。

ちなみに2399というレーティングを保持する羽生氏ですが、世界ランクでは2500位前後です。これを低いとみるか高いとみるかは人それぞれですが、世界で競技人口7億人といわれるチェスで2500位と考えるとそのすごさはわかるはずです、しかも本業ではなく趣味で。

チェスのタイトルについて

将棋の場合、タイトルといえば7大タイトルである名人、竜王、王将、王位、王座、棋聖、棋王や某TV局主催の早指し戦の優勝者であるNHK杯選手権者などが有名です。
これらはその大会を優勝した、またはチャンピオンに挑戦し勝利した場合に獲得できるものですがチェスの場合のタイトルというのはこれらとはシステムが異なります。

チェスのタイトルの場合は、一定条件を達成することで獲得することができます。仕組みとしてはプロ将棋の段位システムがかなり近いといえるでしょう。
チェスのタイトルには達成条件の難しい順にグランドマスター(GM)、インターナショナルマスター(IM)、FIDEマスター(FM)、キャンディデイトマスター(CM)の4つがあり、これらが国際チェス連盟のタイトルとなっています。

羽生さんは現在FIDEマスターを保持しており、さらに上位のインターナショナルマスターの条件もほとんど達成しているので近いうちに昇格すると思われます。

羽生氏がチェスに熱心な理由の考察

羽生氏がここまでチェスに熱心なのは、単純にチェスが将棋に似ているとかという理由だけではなく、自分よりも格上と戦える、完全な挑戦者として挑めるという理由があると考えられます。

というのも知ってのとおり将棋棋士として羽生氏は抜きんでる実力を誇り、現役の将棋棋士で完全に対等に戦えるといえる棋士はいません。
もちろん森内氏、佐藤康光氏、郷田氏といったいわゆる羽生世代や、渡辺明氏、佐藤天彦氏、豊島氏などの次世代のエースたちといったライバルはいますが、やはり彼らと比べても羽生氏は別格です。

つまり「プロ将棋界で対等以上の棋士がいない=自分よりも強い相手に挑戦することができない」という状態なのが羽生氏の将棋です。

一方でチェスであれば国内だけであっても小島氏がいますし、世界を見れば2500人程度自分より明らかに格上といえる相手がいます。

さらにランキングに載っていないだけでかなりの実力をもつチェスプレイヤーもかなりいます。
例えばチェス界の伝説的なプレイヤーの一人であるガルリ・カスパロフ氏は既に引退しているためレーティング表には載っていませんが、今でも2800程度のレーティングの強さといわれています。これはランキングで言えば世界でも1桁の順位です。

2014年にはニコニコ動画で「羽生善治VSガルリ・カスパロフ」というスペシャルチェスマッチが組まれました。
結果はカスパロフ氏が2戦2勝でしたが、その感想戦で羽生氏が熱心にそしてうれしそうにカスパロフ氏に多くのことを聞いていたのが印象的でした。

このように挑戦者として強者と戦えるという点が羽生氏にとってのチェスの大きな魅力となっていると考えられます。

ちなみにカスパロフ氏のレーティングが2800だとした場合、羽生氏の勝率は計算上5~6%程度です(引分け含む)。これは奨励会三段(将棋のプロ棋士一歩手前)が羽生氏に勝てる確率よりも低いことになります。あくまで計算上ですが。