意外と違う!?チェスと将棋の共通点と相違点

競技人口7億人と言われるほど世界中で幅広くプレイされているボードゲームのチェスと、日本の将棋の共通点と相違点についてです。

チェスと将棋は共通点が多いためしばしばチェスを「西洋将棋」、また逆に将棋のことを「ジャパニーズチェス」と呼ぶことがあります。
どちらもチャトランガというインドのボードゲームにルーツを持つといわれており、いわば兄弟であるといえる関係なのですが、共通点以上に相違点もあるためプレイすればするほど両者は全く違うように感じてきます。

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共通点

まずは主だった共通点から見ていきましょう。

相手のキング(王将)を詰ませば勝ち
チェスも将棋も勝利条件が「相手のキングを詰ませる」という点は同じです。そして途中であきらめて投了することができるのも共通点です。
ちなみに詰みでなくともチェック(王手)を放置して自分のキングが取られた場合も負けとなります。

・成りがある
将棋の場合は、王将と金将以外のまだ成っていない状態の駒が相手の陣地に入るまたは相手の陣地から出る時に成ることができます。
一方でチェスでも、駒はポーンに限りますが相手側の一番奥のマスまで到達した時に成ることができます。チェスではこの成りの事を「プロモーション」と呼びます。
ちなみに将棋の成りでは、飛車と角行はそれぞれ龍王と龍馬に、他の駒は金相当の駒に成りあがることができますが、チェスではキングとポーン以外の好きな駒にプロモーションすることができます。大抵の場合はチェスで最も強力なクイーンがプロモーション先として選ばれますが、稀にナイトが選ばれることもあります。

・お互いに対応する駒がある
キングと王将、ナイトと桂馬、ビショップと角行、ルークと飛車、ポーンと歩兵というように似たような動きの駒がある点は共通点です。

これらは全て両方のルーツとなったチャトランガに由来する共通点であり、チャトランガとも共通しています。

相違点

では次に相違点を見ていきましょう。

・盤の大きさ
将棋は9×9マスですが、チェスは8×8マスとなっており将棋の方が一回り大きいです。

・取った駒を再利用できるかどうか
チェスでは取った相手の駒を再利用することはできませんが、将棋では自分の駒として再利用することができます。
チェスと将棋の両方のルールを知っている人に両者の違いを聞いた場合、ほとんどの人は一番最初に「取った駒を再利用できるかどうかだ」と答えるでしょう。それほどまでに大きな違いです。

また駒の再利用ができるかどうかの影響から次のような違いも生まれてきます。

・チェスは後半になるにつれて選択肢が減る、将棋は増える
チェスではゲームが展開していくと徐々に駒が減っていきます。そのため相手も自分も動かせる駒が少なくなってくるため選択肢がどんどん減っていきます。
逆に将棋では取った駒を好きな位置に打ち込めるため、駒が盤上にあるよりも駒を取った状態の方が自由度が高く選択肢が増えていきます。

さらに選択肢が減ることによる違いもあります。

・チェスは引分けが多い(引分けの条件も違う)
チェスでは終盤になると駒が少なくなるため、詰んでいるわけではないが動かせる駒が無い、という状態になることがよくあります。そしてこの場合は引分けとなることになっており、これをステイルメイトといいます。
一方将棋では取った駒を使えるため動かせる駒が無いという状態には通常なりません。またそうなった場合の勝敗についても特に規定されていません。
ちなみに同じ局面が複数回現れるスリーフォールド・レピティション(千日手)はチェスでも将棋でも基本的に引分けですが、チェスの連続チェックでの千日手、将棋で言えば連続王手での千日手は、チェスでは引分けとされるのに対し将棋では王手をかけている側が負けとなるという違いもあります。

他にも将棋の歩兵にあたるポーンが2マス進めたり斜めに攻撃判定があったり、キャスリングやアンパサンといった特殊ルールなどの違いがあったりします。

感覚的な違い

上記に挙げたようにこれだけ相違点があればプレイヤーの感じるところも色々と違います。

自分がプレイをしていて特に違うなと感じるのは以下の点です。

・将棋は殴り合い、チェスは撃ち合い
将棋の駒は基本的に1マスずつしか進めませんから、攻撃のための体勢作るのにも手数がかかります。しかし金や銀のように周りに攻撃判定が広くあり小回りが利く駒があるため守備力は高いといえます。
そのため戦いは局所での小競り合いから有利を取っていくという形で、素手での殴り合い、刀での斬り合いというようなインファイトのイメージです。
対してチェスは、将棋で例えるなら、2倍強い歩が8枚、4倍強い桂馬が2枚、、飛車と角を2枚ずつ、龍+馬のハイブリッド駒が1枚という戦力状態ですので、将棋と比べると駒の攻撃力が非常に高くなっています。
戦いは序盤から盤面全体におよび、5手以内に相手の攻撃が自陣に及ぶことも少なくありません。自陣から直接ビショップやルーク、クイーンで相手陣を攻撃しているようなイメージを例えるならば銃や大砲での撃ち合いという感じです。

チェスでの対局は、将棋でいうところの横歩取りやゴキゲン中飛車超急戦を毎試合やっているようなものです。

将棋の方が難しい?

チェスよりも将棋の方が難しいという意見は確かに何度か聞いたことがあります。

私が聞いた時にはその一つの根拠として持ち駒の有無が挙げられていました。
チェスは取った駒は使えない、つまり持ち駒はありません。一方将棋では取った駒を自由に使えます。
そのため同じようなゲーム性なのに選択肢が将棋の方が圧倒的に多くなるからチェスより将棋の方が難しい、という理屈だそうです。

しかし日本国内最高峰のチェスプレイヤーとしても知られるプロ将棋棋士の羽生善治氏は、海外でのインタビューで「チェスと将棋でどちらがより複雑か?(難しいか?)」と聞かれて以下の様に語っています。
「将棋とチェスは似たようなものだと思っていたが全く異なっていた。チェスは良いポジション取りが重要なのに対し、将棋は詰みにいかに早くたどり着けるかがより重要だからだ。どちらが複雑であるかというのは私には分かりかねる。」

外部リンク:When a Shogi champion turns to chess(英語記事)

原文が英語ですので細かいニュアンスはわかりませんが、ほぼ全ての局が詰みで決着する将棋と、チェックメイトでの決着と同じぐらい引分けが多いチェスのゲーム性の違いを言っているようです。

将棋を極め、チェスも国内最強クラスの羽生さんが分からないと言っているのですから日本でわかる人はいないですね。

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