1.e4 d5から始まるセンターカウンターディフェンスまたはスカンジナビアンディフェンスと呼ばれるオープニングについてです。
書物に残っている定跡の中でも最も古いものの一つがこのセンターカウンターディフェンスです。
オープニングのセオリーに反して、クイーンを序盤から中央に展開する点が評価が悪く、トッププレイヤー間ではあまり人気ではない定跡ですが、オリンピアードなどの大舞台で世界チャンピオンのマグヌス・カールセンが黒番でこの定跡を選択したこともあります。
基本形までの手順と意味
基本形までの手順
- 1. e4 d5
- 2. exd5 Qxd5
- 3. Nc3
1.e4 d5までがセンターカウンターディフェンスの基本形ですが、その後の展開で2.exd5 Qxd5 3.Nc3と進むことがほとんどなので、ここまでを基本形にしておきます。
それぞれの手の意味
白1手目 e4
キングの前のポーンの突き出しです。中央制圧を狙うことと同時にクイーンとビショップが動けるようになり白の盤面上の制圧範囲が一気に広がりました。
黒1手目 d5
クイーンの前のポーンを交換しに行きます。
クイーン前のポーンがどかすことができれば、クイーンやビショップの展開がしやすくなります。
白2手目 exd5
黒のd5ポーンを取ります。
白番としては、相手がこのポーン交換を狙っているのが分かっていますが、クイーンを中央に引っ張り出す方が有利との判断です。
オープニングのセオリーとして、クイーンは序盤は動かさない・中央に出さないというのが一般的です。
黒2手目 Qxd5
ポーンをクイーンで取り返します。
ここではポーンを取る以外にf6にナイトを展開するのも候補手となります。
白3手目 Nc3
中央に出てきたクイーンを狙いに行きます。
クイーンを序盤で中央に出すと、相手に駒を展開されながらクイーンを狙われ続けるため、駒の展開が遅れがちになるのです。
基本形からの主な変化
メインライン 4. … Qa5
センターカウンターディフェンスのメインラインは、黒がナイトの当たりを避けるためにクイーンをa5に移動させます。
5ランク(横の行)でクイーンが行けるのはいくつかありますが、白の駒の展開を考えると、右側のナイトやビショップに狙われないa5が最善となります。
展開例としては以下のようになります。
4. … Qd6
ナイトの当たりを避けるために、横ではなく縦に逃げる場合の変化です。
クイーンの逃げ場としてはdの6、7、8の3か所が候補になりますが、d8は元の場所に戻るので完全に手損、d7はクイーンの横方向への移動ができないのでd6に劣る、なのでd6となります。
展開例としては以下のようになります。
トップ選手の棋譜
先手はレートランク2位のファビアーノ・カルアーナ、後手はレートランク1位のマグヌス・カールセンです。
基本形からカールセンはクイーンの逃げ先でd8を選んで勝っています。
2014年オリンピアード
関連ページ:【チェス定跡】オープニングの一覧