ベスのエピソード毎のおおよその強さと予想レーティングについてです。
回を重ねるごとにチェスがどんどんと強くなっていくエリザベスですが、実際に彼女が現実世界にいたとしたらどれくらいの強さで、チェス界ではどれくらいの活躍ができるのかというのを予想してみました。
レーティングって何?
まずベスのチェスの強さを表すのにここではレーティングという指標を使います。
レーティングの計算方法は省略しますが、簡単に言えばドラゴンボールの戦闘力みたいなもので、レーティングが高ければ高いほどチェスが強いというものです。
目安として上級者で1800ぐらい、2200でプロ級、2500超でチェス界最高タイトルのグランドマスター、2750~2800あたりが世界チャンピオン級(1970年前後)です。
関連ページ:世界一や日本一は誰?チェスのレーティングとランキング
作中で彼女のレーティングについて言及されている場面もありますが、ベスの場合は勝ち続けているせいでレーティング推定ができないため、作中で出るベスのレーティングに関しては考慮しません。(レーティングは勝ち負けが多少は混ざらないと評価できない)
レーティング推定
Chess.comによるベスのレーティング

まずベースとなるレーティング推定の一つとして世界最大手のチェスサイト「Chess.com」が出していたベスのレーティングを参考にします。
2020年末あたりにChess.comがクイーンズギャンビットとのコラボ企画として、コンピューターに再現させた色々な歳のベスと対局できるというものがありました。
その際に設定されていたレーティングが以下の通りです。
- 8歳:800
- 9歳:1200
- 10歳:1600
- 15歳:1880
- 17歳:2400
- 20歳:2500
- 22歳:2700
このレーティングはChess.com独自のものですが、有名プレイヤー再現AIのレーティング設定を見ると、ナカムラやアロニアンが2750、元世界チャンプのクラムニクやアナンドが2800となっていることから、ベスは現代のトッププレイヤーより少し弱い設定のようです。
ただしクイーンズギャンビット本編とベスの年齢設定や強さに矛盾があるので、個人的な見解を交えて訂正します。
ベスの推定レーティング
- 8歳:800(1話:1957年:シャイベルに負ける)
- 9歳:1800(1話:1957年:シャイベルに勝つ)
- 9歳:1900(1話:1957年:高校生と12面指し全勝)
- 14歳:2300(2話:1963年:ケンタッキー州チャンプ)
- 17歳:2500(3-4話:1966年:ベニーに負ける)
- 18歳:2600(5-6話:1967年:ベニーに勝つ)
- 19歳:2700(7話:1968年:ソ連勢に全勝)
Chess.comの設定では若年時のレーティングが明らかに低すぎたので補正しました。
初心者だった頃のベスが800は分かりますが、そこそこ強いと考えられるシャイベルに勝てるレベルのベスが1200(初級者レベル)とは考えられません。
また高校のチェスクラブ12人全員に同時対局で全勝するレベルとなると1600(中級者レベル)とは考えづらいです。
ケンタッキー州チャンプになった14歳に関しても、1880(上級者レベル)とは考えられないので、FIDEマスターというタイトルぐらいは取れる超上級者レベルだと考えられます。
最終話でのレーティングは2700というのは、ボルゴフのモデルのアナトリー・カルポフの補正レート(現在換算値)が2698であることを考えれば妥当な線でしょう。(そもそもベスのモデルは最高レート2785のボビー・フィッシャー)
関連ページ:【AI解析】歴代最強のチェスチャンピオン上位5人【カールセンは何位?】
ベスが現実にいた場合の活躍予想
ベスが現実にいた場合に獲得できそうなチャンピオンシップや記録をまとめてみます。
獲れそうなチャンピオンシップ・タイトル
基本的には作中でベスが獲得したものにプラスして、グランドマスターと世界チャンピオンが視野に入ります。
作中では世界チャンピオンに勝ってはいますが、世界チャンピオン戦での勝利ではないのでベスがチャンピオンにはなっていません。またグランドマスター獲得の申請をした様子もないので、おそらく7話までにグランドマスターは獲得できていません。
グランドマスター
強さや経歴を考えれば確実に取得できます。
ケンタッキー州チャンピオン
強さを考えれば確実に取得できます。
全米チャンピオン
同世代にボビー・フィッシャーがいるため確実とは言えませんが、ほぼ確実に獲得できます。(フィッシャーは表舞台から消えたり戻ったりするので)
世界チャンピオン
こちらもフィッシャーの存在と時代背景もあるので確実とは言えませんが、何度か挑戦できれば1度ぐらいは獲得できると思われます。
女子世界チャンピオン
これは確実に獲得できます。現実のチェス史上、1948年生まれのベスと同レベルと言える女性選手は1972年生まれのユディット・ポルガーただ1人ですので時期は被りませんし、そもそもポルガーは女子選手権には参加していません。
獲れそうな記録
初・女性グランドマスター
実際の初の女性グランドマスターは1978年獲得のノーナ・ガプリンダシュヴィリなので、第7話が1968年であることを考えるとベスの方が早く獲得できそうです。
最年少女性グランドマスター(当時)
女性グランドマスター自体が初なので、最年少という事にもなります。ただし劇中でベスがグランドマスターになったという描写がないため、獲得は7話以降になるため早くても19歳。そうなるとその後に15歳で獲得しているユディット・ポルガーとハンピー・コネルに塗り替えられます。
最年少世界チャンピオン
現実ではガルリ・カスパロフの持つ22歳が最年少記録となりますが、ベスはうまくいけば20歳か21歳で世界チャンピオン獲得の可能性があります。
初・米国人世界チャンピオン
現実ではボビー・フィッシャーが1972年に獲得しますが、第7話が1968年なのでベスの方が早く獲得できる可能性があります。
初・女性世界チャンピオン
現実では今のところ女性の世界チャンピオンは誕生していません。
初・女性による世界ランキング1位
現実ではユディット・ポルガーが持つ世界8位が女性最高位です。ベスが物語の勢いそのままに世界チャンピオンも獲得できれば、レーティングも世界1位になるはずです。
関連ページ:【2020年最新版】チェスの女子世界ランキング上位7人
参考ページ
- The Queen’s Gambit: Rvery Chess Position | Chess.com
- Play Chess With Beth Harmon from The Queen’s Gambit | Chess.com
- [Spoiler] Beth’s rating | reddit
関連ページ:【Netflix】クイーンズギャンビットの記事一覧