かつて日本に存在した個人事業者の日本チェス協会(JCA)についての記事です。
チェスが流行らない理由がこの協会があるからと言われ、運営がひどい日本の団体・協会で打順を組んでみたでは4番格の扱いなどネット上での悪評が尽きなかった日本チェス協会ですが、会長が亡くなり、会長代行も歳で運営ができなくなったとのことで、ついに2019年1月に解散しました。
JCAが行っていた事業は、そのほとんどを新規団体のナショナル・チェス・ソサイエティ・オブ・ジャパン(NCS)が引き継いで行っています。
概要
選手は国際的にチェスを行うにあたり、国際チェス連盟FIDEに加盟している団体に所属しなければなりません。
日本の場合はそれが何故か2019年1月までは日本チェス協会という法人でも任意団体でもなくただの個人事業者でした。
しかし個人事業者が、日本におけるチェスの国際的な代表権限を持っているという状態のせいで日本のチェス界は数多くの問題を抱えていました。
解散時(2019年1月)のデータ
- 団体名称:日本チェス協会
- 略称:JCA
- 団体人格:個人
- 代表:渡井美代子(会長代行※注1)
- 会員数:不明
- 会計報告:非公開
注:肩書は自称、前代表の残余期間を過ぎているため本来は会長代行を名乗れない
会費
- 入会費:2100円(税込)
- 年会費:6300円(税込)
なお、2019年1月時点での消費税率は8%です。
会員になるとできること
- JCA主催の大会に参加できる(別料金)
- JCAのレイティングが取得できる(別料金)
- JCA内の規定の段位を得られる(別料金)
- 会員証がもらえる(入会費に含まれる)
- チェス用品を会員価格で購入できる(amazonの方が安い)
- 毎月チェス通信という会誌が届く
JCAの問題点
JCAが問題を引き起こしている元を辿れば以下の流れになります。
- JCAは国際チェス連盟(FIDE)に加盟している
- FIDEに加盟できるのは1国1団体(日本で他団体を作ってもJCAに勝てない)
- JCAは個人事業なので代表の意向が絶対
- 総じてチェスに関して国内では代表の権限が強すぎる
つまり日本のチェスに関することに関しては、代表はやりたい放題できる権限があったことになります。
これらが引き起こしていた問題は以下の通りです。
お金の流れが不明確・金銭に関してせこい
会計報告がない、役員の旅費を選手に負担させる、大会のボランティアに2.5万円のルールブック購入を迫るなど金銭に関する問題も多くありました。
以下は2001年の掲示板の内容ですが当時問題になったことが語られています(2ちゃんねるなので正確性は保証できませんが)。
参考外部リンク:http://mimizun.com/log/2ch/bgame/998496305/
代表選手になりたい選手に裏金の要求をしている、というような話も出ていますね。(上記スレッド内≫23)
意に反する会員の除籍
代表の意に背く会員・協会の在り方に疑問を持つ会員を除籍しています。
例えば将棋棋士の羽生善治氏や森内俊之氏などのチェスの先生であるジャック・ピノー氏、日本女子チャンピオンに何度もなっている竹本尚子氏、日本チャンピオンに何度もなっている西村裕之氏(2ちゃんねるの人とは別人)などです。
参考外部リンク:http://crazypoker2.seesaa.net/article/380209242.html
除名された方の中には前述のお金の流れについて、きちんとした会計報告を求めたりしただけの人も含まれていると考えられます。
ちなみに日本チェス協会の検索時のサジェスト(グーグルなどが提案してくる関連キーワード)は以下の通りです。

なんJや感心するスレというのは以下の掲示板を探してのことですね。
外部リンク:2chの日本チェス協会に感心するスレ
外部リンク:2chのスレッドの内容をまとめているサイト
ナショナル・チェス・ソサイエティ・オブ・ジャパン(NCS)
2019年1月にJCAが渡井会長代行(自称)の意向により解散となり、後継団体としてナショナル・チェス・ソサイエティ・オブ・ジャパン(NSC)が設立されました。
日本チェス協会とは異なりきちんと一般社団法人としての登録なので、個人の権限が強くなりすぎることもなく、健全な運営をされていくと思います。