チェスのプロプレイヤーたちの獲得賞金ランキングについてです。
日本国内では将棋や囲碁の獲得賞金が発表されており、トップ選手は1億円以上稼ぐこともあります。
一方で世界中でトーナメントが行われているチェスではどのくらいトップ選手が稼いでいるのか気になったので調べてまとめてみました。
注:この記事はPrize money for chess players | redditを参考に必要な情報を加筆し執筆しています。
集計方法と注意点
- 集計年は2017年のものです。
- 集計方法は以下のサイトに載っているトーナメントを調べ、各プレイヤーの獲得賞金を調べました。
→2017年チェスカレンダー - トーナメントの賞金を公表していないなどで、賞金額が分からなかった5つの大会については計算に含まれていません。
- 世界チャンピオン戦は2年サイクル(1年間予選、1年間本戦)なので、2017年はチャンピオン戦は行われていません。そのため世界チャンピオン(現在はカールセン)の獲得賞金がチャンピオン戦のある偶数年と比べるとその賞金額の7000~8000万円(60万ユーロ)程低くなっており、挑戦者(2018年はカルアーナ)も40万ユーロ程低くなっています。
- 各選手のレートは2017年当時のものです。
- 2017年の為替相場から1ドル=112円で計算しています。
- オンライントーナメントは入っていません(2017年時点では賞金はほぼなかった)
賞金ランキング(2017年)
1位 7840万円 マグヌス・カールセン(ノルウェー)
- 性別:男性
- 出生年:1990年
- FIDEレーティング:2835
- タイトル:GrandMaster
- 獲得賞金額:69.8万ドル = 7840万円
関連ページ:現世界王者のマグヌス・カールセンが強すぎる件
2位 5040万円 ヴィシュワナータン・アナンド(インド)
- 性別:男性
- 出生年:1969年
- FIDEレーティング:2768
- タイトル:GrandMaster
- 獲得賞金額:45万ドル = 5040万円
3位 4144万円 レボン・アロニアン(アルメニア)
- 性別:男性
- 出生年:1982年
- FIDEレーティング:2767
- タイトル:GrandMaster
- 獲得賞金額:36.9万ドル = 4144万円
4位 3808万円 マキシム・ヴァシェ-ラグラフ(フランス)
- 性別:男性
- 出生年:1990年
- FIDEレーティング:2779
- タイトル:GrandMaster
- 獲得賞金額:34万ドル = 3808万円
5位 3158万円 ヒカル・ナカムラ(アメリカ合衆国)
- 性別:男性
- 出生年:1987年
- FIDEレーティング:2777
- タイトル:GrandMaster
- 獲得賞金額:28.2万ドル = 3158万円
関連ページ:早指し王ヒカル・ナカムラは大阪生まれのアメリカ人
6位以降
6位 2979万円 ウェスレイ・ソウ(アメリカ合衆国)
7位 2844万円 ファビアーノ・カルアーナ(アメリカ合衆国)
8位 2509万円 イアン・ネポーニャシー (ロシア)
9位 2475万円 ディン・リーレン(中国)
10位 2430万円 セルゲイ・カヤキン(ロシア)
チェストーナメントの賞金
賞金額が高いトーナメントとしては以下のようなものがあります。
世界チャンピオン戦(2018年)
- 勝者:60万ユーロ(7500万円)
- 敗者:40万ユーロ(5625万円)
世界チャンピオン戦 挑戦者決定戦(2018年)
- 1位 9.5万ユーロ(1189万円)
- 2位 8.8万ユーロ(1100万円)
- 3位 7.5万ユーロ(938万円)
- 4位 5.5万ユーロ(688万円)
- 5位 4万ユーロ(500万円)
- 6位 2.8万ユーロ(350万円)
- 7位 2万ユーロ(250万円)
- 8位 1.5万ユーロ(188万円)
タタスチールRapid&Blitzトーナメント
- 1位 37,500ユーロ(468万円)
- 2位 25,000ユーロ(313万円)
- 3位 20,000ユーロ(250万円)
- 4位 15,000ユーロ(189万円)
- 5位 12,500ユーロ(156万円)
U.S.チャンピオンシップ
- 1位 50,000ドル(550万円)
- 2位 35,000ドル(385万円)
- 3位 25,000ドル(275万円)
- 4位 20,000ドル(220万円)
- 5位 15,000ドル(165万円)
ほとんどのトーナメントにおいて上位のGM(グランドマスター)が参加する場合でも優勝賞金は100~200万円程度です。
トップGMが参加しないレベルのものでは5万円~100万円程度が相場のようです。
将棋・囲碁との比較
2017年の獲得賞金をチェス(世界)・将棋(日本国内のみ)・囲碁(日本国内のみ)の3つで比べてみました。
単位は万円
順位 | チェス | 将棋 | 囲碁(日本) |
---|---|---|---|
1位 | 7840 | 7534 | 15981 |
2位 | 5040 | 7255 | 2523 |
3位 | 4144 | 5070 | 2459 |
4位 | 3808 | 3019 | 2404 |
5位 | 3158 | 2908 | 2180 |
6位 | 2979 | 2801 | 2171 |
7位 | 2844 | 2363 | 2097 |
8位 | 2509 | 2144 | 2047 |
9位 | 2475 | 1985 | 1890 |
10位 | 2430 | 1967 | 1699 |
注:囲碁はこの年に井山氏が7冠独占をしているため、一人だけ獲得賞金が抜けています。
オンライントーナメントの賞金
2021年現在、オンラインでのチェストーナメントでも2017年ごろと比べるとかなりの額の賞金が出るようになっています。
2020年にマグヌス・カールセンがオンラインで稼いだ額は5500万円以上で、これはe-sports全体でも年間ランキング1位の額でした。
ただ新型コロナの影響で世界的に対面でのトーナメントが減っているため、カールセンやナカムラなどの一部を除き、ほとんどの選手にとってはオンラインはその分を埋める賞金にもなっていないのが現実です。
詳しくは別ページで解説していますのでそちらを参照してください。
関連ページ:【オンライン】e-sportsとしてのチェス【賞金は1000万円以上も!】
対局以外の収入
日本の将棋や囲碁のプロとは違い、対局料というものが連盟から出るわけではないので、多くのチェスプレイヤーは本業を別に持っています。
しかし上位のグランドマスターであればチェス関連の仕事で稼ぐことが可能です。
例えばトップレベルの通称スーパーグランドマスターとよばれるレート2700以上のグランドマスターになれば、運営側がイベントや大会に参加してもらうためにギャラを払うこともあります。
その相場は知名度や人気にもよりますが、1日で100万円とも200万円とも言われています。
また羽生善治氏が公文式のCMに出ていたように、CMなどの仕事もあります。
以下は世界チャンピオンのマグヌス・カールセンがノルウェーのTVコマーシャルに出演している動画です。
その他にはチェスの講師や著書の執筆、最近でいうとYoutube配信をしているグランドマスターも何人かいます。
以下はヒカル・ナカムラが実況配信している動画です。
アップしている動画のほとんどが3分切れ負けの忙しい対局なのに早口で解説しているのがさすがです。
関連ページ:チェス・将棋のランキング記事一覧