チェスのルールとして、多くの場合では持ち時間制が用いられています。
世界チェス連盟(FIDE)では、以下の3種類の持ち時間でそれぞれ選手のレーティングを計算しています。
Standard(スタンダード):40手あたり2時間程度。大会、レベルによりまちまち。
Rapid(ラピッド):10~60分の固定
Britz(ブリッツ):10分未満の固定
またボビー・フィッシャーという有名なグランドマスターが考案したフィッシャールールというものもよく用いられています。
Fischer:最初の持ち時間に加えて、1手指すごとに何秒か追加していくルール
それぞれについて詳しく説明していきます。
スタンダード
後述するラピッドやブリッツに当てはまらない持ち時間のものがスタンダードと呼ばれます。
大会や対局者のレートによって持ち時間は異なるため、一概に何分というのは言えませんが、およそ2時間前後となることが多いようです。
FIDEの大会の例は以下のとおりです。
大会名 | 持ち時間 | 40手目で追加 | 60手目で追加 | 1手ごとに加算 |
---|---|---|---|---|
世界チャンピオンマッチ | 100分 | 50分 | 15分 | 30秒 |
チェスオリンピアード | 90分 | 30分 | 無し | 30秒 |
アマチュア世界選手権 | 90分 | 30分 | 無し | 30秒 |
上記の時間は一例で、FIDEの公式大会の時間設定については以下の表のとおりとなっています。表中にはブリッツとラピッドのタイムに関しても載っています。

出典:https://handbook.fide.com/files/handbook/C02Standards.pdf
ラピッド
世界チェス連盟FIDEではラピッド、アメリカチェス連盟ではクイックと呼ばれるルールです。
FIDEの定義では10分以上60分以下の持ち時間をラピッドと定義しています。
また1手ごとに時間を追加するフィッシャールールを並行して適用することもできますが、60手動かした際に元の持ち時間と加算された時間の合計が10分以上60分以下に収まるようにしなければなりません。
FIDEの世界ラピッド選手権大会では、各選手15分の持ち時間に加えて、1手10秒の加算が用いられています。
ブリッツ
FIDEの定義では10分以下の持ち時間をブリッツと定義しています。
こちらもラピッド同様にフィッシャールールを併用することができますが、60手動かした際に元の持ち時間と加算された時間の合計が10分以下になるようにしなければなりません。
FIDEの世界ブリッツ選手権大会では持ち時間3分に1手2秒加算のルールで行われています。
フィッシャールール
最初の持ち時間に加えて1手指すごとに数秒を加算していくというのがフィッシャールールです。
この「加算していく」という部分がフィッシャールールにあたりますので、どのような持ち時間であっても併用することができ、前述したスタンダード、ラピッド、ブリッツの大会においてもフィッシャールールを加味した時間設定を行うことが多いです。
フィッシャールールは、伝説のグランドマスターであるボビー・フィッシャー氏により提案されました。
日本では将棋の羽生善治氏が彼のファンであることが知られており、羽生氏の提案で将棋にフィッシャールールを取り込んだ大会がAbemaTVトーナメントとして開催されています。
ちなみに2018年、2019年の優勝者はどちらも藤井聡太七段(当時)です。