チェスには「クイーンズギャンビット」「キングスギャンビット」「ダニッシュギャンビット」「スコッチギャンビット」など「○○ギャンビット」という名前のオープニングや戦形がいくつもあります。
ギャンビットとは端的に言うと「手順で相手にポーンをわざと取らせる定跡」のことです。
駒損が非常に大きく勝敗に響きやすいチェスにおいて、なぜ序盤でポーンをサクリファイスするのでしょうか?具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?
ポーンを取らせる意味
ポーンを駒損してでも取らせる意味はおおまかに以下の3つです。
- ファイル(タテの列)を開くことでルークやクイーンを使いやすくする
- 相手の価値の高い中央付近のポーンを端へ動かすことで価値を低くする
- 数手先で駒を展開しながら効率よく取り返す手順がある
以下一例としてクイーンズギャンビット・アクセプティッドという定跡を見ていきます。
1. d4 d5 2. c4 dxc4 3. Nf3 Nf6 4. e3 e6 5. Bxc4 c5 6. O-O a6 7. Qe2 b5 8.
Bb3 Bb7
1手目でd4 d5から2手目に白がc4としたのがギャンビットです。
黒番はこれを取る(アクセプティッド)か、取らない(ディクラインド)を選択できますが、ここでは取る選択です。どちらを選択しても形成に大きく差はありません。
黒がc4を取ったことで、前述の②の中央から端へポーンが逸れました。
さらに白は4手目でポーンを動かしビショップの道を空けます。黒が受けなかったので、前述の③のとおり次の手でポーンをビショップを展開しながら取り返すことができました。
結果的に駒損は解消され、白は中央のポーンが2つそのまま、黒は中央はキングサイドのみなので中央付近に関しては白が制圧しやすい形になりました。
関連ページ:【チェスの手筋】サクリファイス【捨て駒】
ギャンビットの一覧
ギャンビットと名の付くオープニングはかなりの数があるので、一部の名前と手順を紹介します。
- キングスギャンビット:1.e4 e5 2.f4
- クイーンズギャンビット: 1.d4 d5 2.c4
- エヴァンスギャンビット:1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.b4
- ルソーギャンビット:1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 f5
- スミスモラギャンビット:1.e4 c5 2.d4
- ブダペストギャンビット:1.d4 Nf6 2.c4 e5
- スコッチギャンビット:1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.d4 exd4 4.Bc4
- ラトビアンギャンビット: 1.e4 e5 2.Nf3 f5
- ベンコーギャンビット:1. d4 Nf6 2. c4 c5 3. d5 b5
関連ページ:【チェス定跡】オープニング一覧