古代インドのボードゲーム「チャトランガ」をルーツに持つ世界のボードゲームの一覧です。
チャトランガはチェスや将棋のルーツと言われており、世界中にはその他にも多くのチャトランガ由来のボードゲームが存在しています。
同じ由来を持つゲームであるがゆえにそれぞれのルールはかなり似ているところがあり、例えば王様(キング)の動きはどのゲームでもほぼ同じですし、将棋でいう角や飛車、桂馬の動きをする駒が他のゲームにもあります。
そんなチャトランガ由来のゲームを一覧にして紹介いたします。
1.チャトランガ(インド)
出典:Wikipedia
- 発祥国:インド
- 成立時期:3~5世紀頃
- 競技人口:不明
- プレイヤー数:2人制、4人制の2種類
- ボードサイズ:8×8
- 駒の数:32個
古代インド発祥のボードゲーム「チャトランガ」です。
現在でもインドの一部ではプレイされているということですが、イギリスの植民地時代に禁止されたこともあり、プレイヤー数はかなり少なく、どの程度の人がプレイしているのか不明です。
2人制と4人制の2種類があり、元々は4人制が先に成立したと考えられていましたが、研究の結果、やはり2人制の方が先に成立していたというのが現在の主流です。
また紀元前4世紀にアレキサンダー大王がチャトランガを見たとの記録があったようですがそれも否定されており、ロシアにチェスとして伝わったのが800年頃となっているためチャトランガ自体の成立時期は紀元後数世紀と見られています。
チャトランガ自体は現在すたれてしまっていますが、それの派生であるチェスや将棋、象棋が世界中で広く愛されているため、源流を作ったその功績は非常に大きなゲームです。
ちなみにインドでは現在はチェスが人気で、2000年代に世界チャンピオンのアナンドを輩出するなど世界屈指のチェス強豪国となっています。
関連ページ:チェスが強い国ランキングトップ10
2.チェス(ヨーロッパ~全世界)
- 発祥国:ロシア
- 成立時期:9世紀頃
- 競技人口:3億人
- プレイヤー数:2人制
- ボードサイズ:8×8
- 駒の数:32個
チャトランガが中東へ伝わりシャトランジ(後述)となり、その後800年代ごろにロシアへと伝わりチェスとなりました。
さらに100年ほど経って、西ヨーロッパに伝わり、16世紀ごろには現在のルールとなったということです。
競技人口は世界150か国以上で3億人以上であり、スポーツも含めてもサッカーやクリケットと並ぶ競技人口の多さと言われています。
近年ではマインドスポーツという分野が新たにスポーツとして取り上げられており、オリンピック競技になる可能性もあります。
関連ページ:オリンピック種目としてのチェス競技
ちなみに発祥国と言われているロシアはソ連時代も含めて昔からチェスが強く、現在でもトップ10人の平均レート、グランドマスター数などはダントツで1位となっています。
3.将棋(日本)
- 発祥国:日本
- 競技人口:1000万人
- 成立時期:6世紀~10世紀(詳細不明)
- プレイヤー数:2人制
- ボードサイズ:9×9
- 駒の数:40個
将棋はいくつか種類がありますが、ここでは最も一般的な本将棋についてです。
将棋の成立時期は文献等が残っていないため詳細は不明ですが、早ければ6世紀ごろには既にあったとされています。
伝搬経路も中国から伝わったという説や東南アジア経由で入ったという説など様々ですが、これらは記録が残っていないためどれも想像の域を脱しません。
ただ中国の象棋や朝鮮半島のチャンギよりも成立が早いであろうとされているため、南から伝来した可能性の方が高いようです。
現在の日本では最も親しまれているボードゲームであり、近年では藤井聡太ブームで一気に競技人口が増えました。
ちなみにルールが似ているため将棋が強い人はチェスも強くなる傾向があり、チェスの日本ランキング1位に長らくプロ棋士の羽生さんがいたこともあります。
関連ページ:【2019年最新版】日本のチェスのレートランキング【1位は中学生!?羽生さんは何位?】
4.象棋(中国・ベトナム、読み:シャンチー)
- 発祥国:中国
- 成立時期:9世紀頃
- 競技人口:5億人
- プレイヤー数:2人制
- ボードサイズ:9×10
- 駒の数:32個
象棋と書いてシャンチーと読む中国のボードゲームです。
中国やベトナムで多くの人にプレイされており、その競技人数はチェスを超える5億人と言われています。
ただ競技人口のほとんどが中国国内なので、中国を除く競技人口ということになると数百万人規模となるため、チェスと違い世界的に広まっているという感じではありません。
他のチャトランガ系列のゲームと違い、駒はマスの中ではなく囲碁のように線の交点に置くのが特徴で、これは後述するチャンギも同様です。
ちなみに象棋があるにもかかわらず現在の中国はチェスの強豪国となっており、国別対抗戦でも優勝するなどの実績を作っています。
関連ページ:チェスが強い国ランキングトップ10
5.チャンギ(韓国・北朝鮮・中国の一部)
- 発祥国:朝鮮半島
- 成立時期:12世紀頃
- 競技人口:700万人
- プレイヤー数:2人制
- ボードサイズ:9×10
- 駒の数:32個
朝鮮半島のチャンギは、見た目やルールはほぼ中国のシャンチーにそっくりですが、パスができたり成がないといった細かいルールの違いがかなりあります。
競技人口はチェス、象棋、将棋に次いで4番目に多く、日本でも愛好者がそれなりにいます。
チャンギの成立は中国の宋の時代(12世紀)に伝えられたと言われていたり、高句麗の滅亡時(7世紀後半)に唐から伝えられたと言われていたり定かではありませんが、元となる象棋の成立が9世紀ごろと言われているので宋時代に伝えられたと言われる説の方が有力のようです。
ちなみに漢字で書くと「將棋」で、これでチャンギと読みます。「しょうぎ」ではありません。
6.シャトランジ(中東)
- 発祥国:ササン朝ペルシア
- 成立時期:7世紀頃
- 競技人口:不明(0?)
- プレイヤー数:2人制
- ボードサイズ:8×8
- 駒の数:32個
チャトランガが7世紀ごろまでにササン朝ペルシアに伝わり、名前をシャトランジと変えて親しまれていました。
駒の配置はチェスとほぼ同じですが、クイーンやビショップに当たる駒の動きがチェスとは異なります。
当時はアラブ地方で広くプレイされていたようですが、お金を賭けてプレイするのが一般的だったせいもあって後の王朝でシャトランジは全面的に禁止されてしまいました。
現在ではプレイヤーはほぼいないようで、その代わりに当時のペルシアにあたるイランではチェスが人気を博しています。
7.マークルック(タイ)
出典:wikipedia
- 発祥国:タイ
- 成立時期:13世紀以前
- 競技人口:200万人
- プレイヤー数:2人制
- ボードサイズ:8×8
- 駒の数:32個
タイ将棋と呼ばれるのがこのマークルックです。
駒や盤は他のチャトランガ系ゲームと大体同じなのですが、注目点としては歩の配置が3段目、歩は相手の陣地に入ったら成れる、という2点が将棋と共通しており、マークルックと将棋は関連性が深いのではないか、と言われています。
ちなみに隣国カンボジアの将棋「オーククメール」も駒の配置および駒の動きがマークルックと全く同じですので、マークルックと同じものだと言われています。
8.シットゥイン(ミャンマー)
- 発祥国:ミャンマー
- 成立時期:8世紀頃
- 競技人口:不明
- プレイヤー数:2人制
- ボードサイズ:8×8
- 駒の数:32個
ミャンマーのシットゥインは、駒の初期配置に自由度が高いルールを採用した独特なものとなっています。
シットゥインでは、ポーンの位置だけが固定されており、あとはルークを最下段に配置する以外は、他の駒を自分の陣地内であれば好きに配置できます。
他のルールはチェスや将棋と同じようなものですが、初期配置によって有利不利があるため、配置中は相手の陣地が見えないようにカーテンで仕切ったりするということです。
インドから近いということもあり成立年は比較的早く、タイのマークルックはこのシットゥインを経由して成立していると言われています。
9.セヌテレジ(エチオピア)
- 発祥国:エチオピア
- 成立時期:不明
- 競技人口:不明
- プレイヤー数:2人制
- ボードサイズ:8×8
- 駒の数:32個
チャトランガ系ゲームで唯一ターン制ではない局面があるゲームがこのセヌテレジです。
最初の駒取りが発生するまでがいわゆる序盤という局面なのですが、この序盤においては相手の手を気にすることなく何手でも指せますし、指した手を戻すのもOKという自由度が高すぎるルールです。
最初の駒取りが発生して以降はターン制になります。
また詰みに関していろいろとルールや慣習が多く、歩のコンビネーションで詰ますのが最も美しいだとか飛車で詰ますのは不格好でイケてないなどといったものがあるらしいです。
情報が少ないので詳細は不明。