世界のチェスAIの強さランキングとそれらを利用するのにオススメのソフトをご紹介いたします。
1997年にIBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」が当時の世界チャンピオンであるロシアのカスパロフに勝利を収めました。
それから20年以上が経ち、現在ではスーパーコンピューターどころかスマホの演算能力であっても世界チャンピオンよりも強いAIを動かすことができます。
このページでは2020年3月時点でのAIエンジンの世界ランキングとEloレート、そしてそれらをPC上で動かす方法をご紹介します。
レート参考ページ:CCRL(Chess Computer Rating List)40/15
注:このページではAIとエンジンをほぼ同義で使っています。
1位 ストックフィッシュ 11(Stock Fish 11)
- レーティング:3497
- ホームページ:Stockfish Chess
美味しそうなタラがトレードマークのストックフィッシュは、Windows、Mac、Linax、Androidに対応したオープンソースのチェスAIです。
最初のバージョンは2008年に公開され、2013年ごろのバージョンからは世界ランク上位の常連エンジンとなりました。
またオープンソースなので商用でもフリーで使うことができ、有名なところではChess.comやlichess.orgの解析はStockfishの過去のバージョンが使われています。
注:オープンソースとは誰でもタダで利用可能なプログラムのことです。
2位 リーラチェスゼロ(Leela Chess Zero)
- レーティング:3466
- ホームページ:LeelaChessZero | github
リーラチェスゼロは、グーグルの開発したAIであるアルファゼロとアルファ碁ゼロにインスパイアされたエンジンです。
自己対決を何百万回と繰り返すことで学習をしていくというアルファゼロの特徴をしっかりと受け継いでいます。
こちらもストックフィッシュと同じくオープンソースとなっています。
3位 コモド 13(Komodo 13)
- レーティング:3409
- ホームページ:Komodo Chess
コモドドラゴンの絵柄が可愛いチェスソフトのコモドです。
ここ10年ほどはストックフィッシュや後述のフーディーニなどと世界戦でしのぎを削っており、特にストックフィッシュとは世界大会の決勝で勝ったり負けたりとライバルのような関係です。
先に紹介した2つと異なり、基本は有料ソフトとなっています。
と言っても過去のバージョンについてはフリーで使えます。しかもその過去のバージョンでさえ世界トップ10に入るレベルの強さです。
ただホームページのセキュリティが甘いのか、ダウンロードしようとするとブラウザが警告を表示します。
ちなみにKomodoは2018年にChess.com社に買収されているため、現在はKomodo = Chess.comのAIということになっています(運営サイトではStockfishも使われていますが)。
4位 フーディーニ 6(Houdini 6)
- レーティング:3400
- ホームページ:Houdini Chess Engine
伝説の奇術師フーディーニの名前を冠するチェスエンジンのフーディーニ6です。
ベルギーのプログラマーにより開発されたフーディーニは、ストックフィッシュをはじめとした多くのオープンソースエンジンを元に構築されています。
初期バージョンは無料で利用できましたが、2以降のバージョンは有料となっています。
2019年にはレートランク1位も獲得しています。
ちなみにポケモンのフーディンと由来は同じ人です(フーディーニのさらに元ネタのウーダン:Houdinという説もあり)。
5位 エーテル 11(Ethereal 11)
- レーティング:3352
- ホームページ:Andy Grant/Ethereal | Github
エーテルはアンドリュー・グラントさんによって開発されたチェスエンジンで、オープンソースとして公開されています。
こちらもまた例にもれずストックフィッシュをはじめとした多くのオープンソースエンジンを参考にしています。
登場は2016年とまだ新しめのエンジンですが、コンピューターチェス選手権では5位以内に入るなど活躍を見せています。
PCでAIを使う方法
ここで紹介したAIをPCで利用する方法をご紹介します。
上記のAIだけをダウンロードしてきても、そのままでは基本的には使うことはできません。
AIは人間でいうところの脳に当たる部分なので、それを表現するために体であるチェスソフトを導入する必要があります。
ソフトをダウンロード&インストール
ダウンロード
ここではARENA(アリーナ)というソフトを使います。
以下のリンクからアリーナの最新版をダウンロードしてください。
アリーナ:http://www.playwitharena.de/
Windows版は以下のような画面のところにあります。ZIPでもsetupでもいいですが、ここではZIPをダウンロードします。
インストール
ダウンロードが完了したらZIPファイルを展開します。
Windows10の場合は、右クリックをすれば「すべて展開」の選択肢が出るはずです。
展開ができたらArenaのアプリケーションをクリックして起動させてみましょう。
この際に言語選択がでますので「English Russian codePage」を選択しましょう。Englishにするとドイツ語と英語が混ざった訳の分からない表示になります。
言語選択ができたらいったんArenaを閉じます。
AIダウンロード&インストール
ここではStockfishを例に進めていきます。他のエンジンでも同じ手順で大丈夫です。
ダウンロード
以下のリンクをクリックしてストックフィッシュのページへ行きます。
ストックフィッシュ:Stockfish Chess
トップページの「Download for Stockfish 11 for Windows」のボタンをクリックして、ストックフィッシュ11をダウンロードします。
ダウンロードしたファイルを展開します。
展開したフォルダをそのままArenaのフォルダ内にある「Engines」に入れます。
Enginesの中身が以下のようになっていればOKです。
Arenaを起動
Arenaを起動します。
上部メニューバー内の「Engines」をクリックし、その中にある「Install New Engine」をクリックします。
ファイルを選ぶ画面になりますので「Arena3.5.1→Engines→stockfish11_win→stockfish11_win→Windows」と進みます。
4種類あるので「x64」を選択します。
選択するとストックフィッシュをスタートするかどうか聞かれるのでYesと答えておきましょう。
YesとすることでArenaで使われるAIがストックフィッシュに成ります。
これでインストールが完了しました。
他のエンジンと入れ替える場合にはメニューバーから「Engines→Manage」と進んでLoaded Engineのところを入れ替えればOKです。
ちなみに何種類かのエンジンを同時に動かすことも可能です。
使い方
ゲーム通しての解析については解析したいゲームの棋譜ファイル(pgn)を読み込んだ上で「Engines→Automatic Analysis」から行うことができます。
また現在の一手だけを解析したい場合には画面右側の棋譜が表示されている部分の下にある「Analysis」をクリックすれば画面下側に解析結果が表示されます。
ARENAの使い方について詳しくは別ページで解説予定です。