ネットフリックスオリジナルドラマ「クイーンズギャンビット」の第一話に出てくるチェス用語やチェスに関する発言について解説していきます。
レビューや感想ではないのでストーリーのコア部分についてのネタバレはありません。
用語解説
タイトル:オープニング
オープニングとは、直訳すれば開幕、序盤のことですが、チェス用語しては序盤戦または序盤定跡のことです。
単にオープニングと言う場合には定跡のことを言うことがほとんどです。ストーリーの中でもベスがシャイベルから序盤定跡を教わるシーンが多く盛り込まれています。
第四話のタイトルがミドルゲーム(中盤戦)、第七話のタイトルがエンドゲーム(終盤戦)となっているので、ここではストーリーの開幕と言う意味も序盤戦の意味も含まれています。
ちなみにクイーンズギャンビットはオープニング(定跡)の種類の一つなのですが、盤面が見える限りでは、第一話でベスが先手番の時は一度もクイーンズギャンビットを選択していません。
関連ページ:【チェス定跡】オープニングの一覧
シャイベル「俺が白だ」
チェスは先手が白、後手が黒の駒を使うというのが決まっています。
そしてチェスは先手の方が明らかに有利です。
つまりシャイベルは「相手してやってもいいけど俺、有利な方ね」と言ってるわけです。
「初心者に負けるわけないけど、こいつは天才っぽくて万が一がありそうな気がするから、とりあえず保険の為にも有利な方を持っておこう」と思ったわけですね。
・・・と言うのは冗談で、本当は白番をシャイベルが持つことにより、ベスを教えたい定跡へ導くためです。
チェスで何故先手が有利なのかと言うと、先手は常に攻撃を先に仕掛けたり、自分が有利な形を作ることができ、後手はそれに応じた対応をすることしかできない、という流れになるからです。
これを応用すると、先手であれば教えたい定跡をリードする形で指すことができます。
シャイベルが定跡の1手目を指すだけで、ベスが定跡と同じ手(=最善の手)を指してくるということが分かっているからこそ、シャイベルは定跡を教える時は常に白番を持ってリードしていたわけです。
スカラーズメイト
短い手数での詰みの形の中で、おそらく一番有名なものです。
中央のポーンを進めたり、ナイトやビショップを自陣から外に出したりと言う自然な手順なのに詰んでしまうので、どのプレイヤーも初心者の頃に1度ぐらいは経験しています。
詳しくは【ルール】覚えるべきチェックメイトのパターン5選のページで解説しています。
シシリアン、ナイドルフ、レヴェンフィッシュ
有名な定跡の一つにシシリアン・ディフェンスと言うものがあります。
後手番がカウンターを狙うことができる攻撃的な定跡で、他の定跡に比べて後手番の勝率が若干高くなっています。
そしてシシリアンディフェンスは、なんとかバリエーションと名の付く派生形がたくさんあります。
ナイドルフというのはシシリアンディフェンスの派生形の一つ、シシリアンディフェンス・ナイドルフバリエーションのこと。
おなじくレヴェンフィッシュというのもシシリアンディフェンス・レヴェンフィッシュバリエーションのことです。(細かいことを言うとシシリアンディフェンスの派生形のドラゴンバリエーションの、さらに派生形がレヴェンフィッシュバリエーションだが、派生の派生なんてガチ勢以外は名前まで覚えてない。)
もっと詳しく知りたい方はシシリアンディフェンスの解説ページをご覧ください。
ベス「チャールズって人がトップらしいの」
「でも15手でもう動けず。そこから6手でチェックメイトよ。」
チェスは先手と後手が指して1手なので、チェスの1手は将棋や囲碁でいうところの2手分に相当します。
チェスの1ゲームの平均手数は40手前後で、負けが確定的になった時点で降参することが多いので、詰むまでやると平均50手前後となります。
つまりトップのチャールズって人は9歳のベスに平均手数の半分程度で負けていることになります。
まとめ
チェス用語が分からなければ理解できないというシーンは1話にはないので、知っていればちょっと理解が深まる程度です。
あと幼少期のモデルは、男女逆だけどボビー・フィッシャーかなと思いました。
関連ページ:なぜボビー・フィッシャーは特別なのか
関連ページ:【Netflix】クイーンズギャンビットの記事一覧
外部ページ:クイーンズ・ギャンビット | NetFlix