ネットフリックスオリジナルドラマ「クイーンズギャンビット」の第四話に出てくるチェス用語やチェスに関する発言について解説していきます。
レビューや感想ではないのでストーリーのコア部分についてのネタバレはありません。
用語
タイトル:ミドルゲーム
チェスでの中盤戦のことです。
チェスの試合をおおまかに序盤(オープニング)、中盤(ミドルゲーム)、終盤(エンドゲーム)に分けられます。
きっちり「こうなったらミドルゲーム」という定義はないですが、初手からの定跡を抜けてお互いの駒が中央部に展開し終わるとおおよそミドルゲームと言われます。
ストーリー的には話の流れが変わる「承」から「転」の部分となることを示唆しています。
チェス界でのソ連とアメリカの関係
昔も今も世界No1はロシア(当時はソ連)、No2はアメリカです。
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そして当時は冷戦の真っただ中、軍事力だけでなくスポーツや学力でも米ソは全力でマウントの取り合いをしていました。
当然チェスもその一つです。
しかし1960年代は圧倒的にロシアが強く、アメリカは2番目とはいえかなり差がありました。
なのでアメリカはチェスにおいては常にソ連に対して屈辱を感じつつも、最先端のチェスはソ連にあるためロシア語の勉強をする選手も少なくありませんでした。
その後、ボビー・フィッシャーがアメリカ人として初めて世界チャンピオンになるのですが、1972年の話なのでクイーンズギャンビットの時代設定の後となります。
この辺りの話はボビー・フィッシャーの人生を映画にした「完全なるチェックメイト」を見るとかなり理解が深まります。
完全なるチェックメイト
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国際グランドマスター
第二話で解説したグランドマスターと同じ意味(と思われます)。
要はすっごい強い人。物語の当初よりはグランドマスターの獲得者は増えているので、全員が世界トップ10クラスと言うことはありませんが、それでもまだまだレアな時代です。
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ボルゴフ
実在の人物ではないですが、モデルはおそらくボリス・スパスキー。
4話は1966年の設定なので、スパスキーが世界チャンピオンになる直前の時代です。
スパスキーは1969年に世界チャンピオンとなりますが、1972年にボビー・フィッシャーに世界チャンピオンの座を取られてしまいました。
それまで何十年もソ連の選手が死守していた世界チャンピオンの座を、冷戦下でアメリカ人が奪取したということで世界的なニュースとなりました。
このあたりも前出の「完全なるチェックメイト」を見ると詳しく理解できます。
封じ手
日をまたいで対局を行う時に、その日の最後の手を指す人が紙に手を書いて相手に見せないように封筒などに入れておき、次の日の一番最初に紙に書いた手を指して対局を再開するという方法のことです。
封じ手をせずに時計を止めるだけの場合、一方のプレイヤーは持ち時間を使わずに次の手を朝まで考えることができるため公平ではありません。
封じ手を行うことで、封じた側は夜にいい手が浮かんでも書いた手を変えれませんし、もう一方の人は相手が何を指すのか分からないので、両プレイヤーにとって公平になります。
英語ではsealed moveと言い、劇中で少年も「Miss Harmon will seal her move .」と(たぶん)言っています。
まとめ
今回は専門用語はあまり多くなかった回です。
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