チェスとボクシングを組み合わせた全く新しいスポーツ、それがチェスボクシングです。
元々は海外のマンガに出てきた架空の競技だったのですが、それを現実に行う人が出てきて、さらにその人は世界チェスボクシング機構まで作って世界チャンピオンマッチまで開催するまでに至りました。
これを聞いただけだとプレイヤーは冗談でやっているのではないかと思ってしまうかもしれません。
しかし実際に試合の様子を見てみれば、世界で一番競技人口の多いボードゲームと、世界で一番競技人口の多い格闘技の組み合わせで、頭脳と体力を最も兼ね備えた人類を決めるというコンセプトに見合った熱い戦いがリングの上で繰り広げられていることが分かります。
チェスボクシングのルール
おおまかなチェスボクシングのルールは以下の通りです。
体重別でクラスが分けられる
成人男子
- 70キロ以下級
- 80キロ以下級
- 90キロ以下級
- 90キロ超級
成人女子
- 55キロ以下級
- 65キロ以下級
- 75キロ以下級
- 75キロ超級
全11ラウンド
- チェス4分6ラウンド(持ち時間各選手12分ずつ)
- ボクシング3分5ラウンド(アマチュアルール)
チェスのラウンドから開始してボクシングとチェスのラウンドを交互に行う。
決着方法
- チェス:チェックメイト(詰み)、持ち時間切れ、リザイン(投了、降参)
- ボクシング:KO、TKO
- 審判の判断による決着
ボクシングでKOが出ず、チェスも引き分けの場合はボクシングの判定で勝敗が決まる。
ちなみに審判の判断で決着をつけることがある理由については、チェスかボクシングかどちらか一方が得意な選手が、試合に勝つために苦手な方を放棄するような戦いをする可能性があり、それを防ぐという意味です。
なのでマイク・タイソンやフロイド・メイウェザーがチェスボクシングに出場してもこのルールのせいで負ける可能性があります(チェスラウンドから開始だから)。
その他
- チェスの時にはヘッドホンを付ける
実際の試合の様子
文章で説明するよりも実際に動画を見ていただいた方が早いと思います。
以下は2008年に行われたチェスボクシングの世界チャンピオン戦の様子です。
試合の大半は上の動画のようにきっちりと勝負がつきます。判定にもつれ込むことはほとんどありません。
というのも、持ち時間とラウンド数の兼ね合いでチェスは必ず最終ラウンドにはどちらかが時間切れになります。(4分×6ラウンド = 24分 = 両者の持ち時間の合計ぴったり)
その時間制限がある中でさらにボクシングで殴り合った状態でチェスを指しているので、一発で試合が終わるレベルの悪手が出ることが珍しくないのです。
ちなみにチェスボクシングの選手に必要なチェスの実力は最低でもFIDEレートで1600、世界戦クラスになると2000前後は必要とのことです。
関連ページ:世界一や日本一は誰?チェスのレーティングとランキング
将棋ボクシング
TV番組「探偵ナイトスクープ」の企画で、実際に試合が行われた競技です。
対戦者は元ボクシング世界チャンピオンの井岡選手と、プロ将棋棋士の先崎九段(当時は八段)でした。
試合結果は井岡選手のKO勝利。将棋であと一手で詰みというところまで先崎九段が追い詰めましたが、ボクシングラウンドで井岡選手にKOされてしまいました。
他にも漫画「ハチワンダイバー」の15巻中でも将棋ボクシングが登場します。
以下がチェスボクシングが最初に登場した漫画、主人公がチェス盤柄のグローブはめてます。