もし将棋の駒がチェスにあった場合、どの程度の価値があるのかについてです。
チェスでは一度取られた駒は二度と復活しないというルール上、駒の優劣がゲームの優劣につながる局面が多いため、駒の価値の計算は必ずします。
それぞれの駒の価値もポーンを1としてすべておおよそ決まっています。
そんなチェスにもし将棋の駒があったとしたらどの程度の価値があるのでしょうか?
このページではそんな疑問について考察していきます。
チェスの駒の価値
まずはチェスの駒の価値についてです。
チェスの駒の価値はポーンを1とした場合には以下のようになっています。
- キング:∞
- クイーン:9
- ルーク:5
- ビショップ:3
- ナイト:3
- ポーン:1
キングは取られると負けなので∞となっていますが、仮に取られてもよいとする場合には3.5程度の価値になるようです。(参考:駒の価値 | 英語版Wikipedia)
なのでここではキングの価値は3.5とします。
ここからチェスと将棋の共通の動きの駒の価値からまずは求めます。
チェスと共通の動きの駒(王将、飛車、角行)
王将
王将はキングと同じ動きとなるので、通常は価値は無限大、取られてもよいとするなら3.5です。
飛車
飛車はルークと同じ動きなので価値は5です。
角行
角行はビショップと同じ動きなので価値は3です。
チェスと共通でない駒
考え方
将棋でのそれぞれの駒の価値はAI解析で示されたものがあります。
ですので前述した角や飛車の価値から逆算することで、チェスにおいての駒の価値が判断できると考えました。
以下は現役のプロ棋士に初めて勝利した将棋AIのPonanza(2016年ver)の駒の価値です。
- 歩兵:0.93
- 香車:3.22
- 桂馬:4.16
- 銀将:5.28
- 金将:5.67
- 角行:9.51
- 飛車:10.87
- 龍馬:11.01
- 龍王:15.5
チェスでは詰みを狙う際に使いやすいルークの価値がビショップに対して相対的に上がっていたのに対し、将棋では成りのルールがある関係で詰みを狙える駒が多いため角行に対しての飛車の価値が相対的に下がっています。
どちらに合わせるかに関してですが、龍王と龍馬の評価差を見る限りは、チェスに比べて角(ビショップ)がより評価されているというよりは、飛車(ルーク)の評価が低いと考えられるためここでは「角行の価値 = 3」を用います。
また金と銀、龍馬、龍王に関しては角との比較では値が小さくなりすぎている気がするので、王将(キング)や角、飛車と動ける範囲を比較することで価値を出します。
歩
角行との比から価値は0.3です。ただし、一番奥のマスまで行ってしまった場合の成り(プロモーション)に関しては考慮していません。
香車
角行との比から価値は1です。ただし、一番奥のマスまで行ってしまった場合の成り(プロモーション)に関しては考慮していません。
桂馬
角行との比から価値は1.3です。ただし、一番奥のマスまで行ってしまった場合の成り(プロモーション)に関しては考慮していません。
銀将
王将が周囲8マスに対し、銀将は周囲5マスに移動できるため駒の価値は3.5×5/8の計算から2.2です。
金将、成金
王将が周囲8マスに対し、金将は周囲6マスに移動できるため駒の価値は3.5×6/8の計算から2.6です。
龍馬
角行との比からすると価値は3.5になります。しかしこれではキング+ビショップである龍馬がキングと同等の価値になってしまっているので、角にキングの半分を足して龍馬の価値は4.7とします。
龍王
角行との比では4.5程度となりますが、価値が5の飛車(飛車)より価値が低いことはないはずですので、龍馬と同様に飛車にキングの半分を足して龍王の価値は6.7とします。
まとめ
もし将棋の駒がチェスにあったら価値は以下の通りになりました。
- 歩兵:0.3
- 香車:1
- 桂馬:1.3
- 銀将:2.2
- 金将:2.6
- 角行:3
- 飛車:5
- 龍馬:4.7
- 龍王:6.7
- 王将:∞(3.5)
歩兵が思った以上に価値が低くなりましたが、もし成るのがクイーンであればもう少し点数が高いかもしれません。